事態を飲み込めず首を傾げる美少年達の前で、短すぎるスカートを捲り上げ、下着に包まれた尻を丸出しにするコギャル。
下着を穿いているとはいえ、丸出しになった女性の尻に美少年達は慌てふためいて目を逸らすが、その瞬間、目を逸らしていても何が起きたか分かるぐらいの大きな音が、美少年達の耳を襲った。
ブッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーッ!
誰がどう聞いてもオナラだと分かる豪快な音に、爆笑の渦に包まれる教室の中で、美少年達だけはいったいどういう反応をすれば良いのかと悩み、戸惑っている。
それがオナラだということは分かる。しかしそれが受けを狙ったものなのか、それともコギャルの失態なのかということが分からない。だが、そのオナラの真実は美少年の理解をはるかに上回る答えであった。
「これが黄暖化ガスの正体です。黄暖化現象は、この子達のオナラによって引き起こされているのです。…と言っても、ただのオナラではありません。変態女のオナラによってのみ、黄暖化現象は起こるのです」
「変態女」という単語を聞いて、美少年達は自分が過去に受けた心と体の傷を思い出して恐怖する。もしかしてまた何かをされるのではないかと怯え、救いを求めるような目で施設の女性を見上げる。
「どうしたの?まだ校長先生の説明は終わっていませんよ。最後まで大人しく聞きましょうね」
すがるような目で自分達を守ってほしいと訴えても、女性は今までに見せたことのない冷たい笑みを浮かべて、美少年達の困惑を相手にしようともしない。いよいよ美少年達は、自分の身に危険が迫っていることを感じ始める。
しかし自分達をここまで保護し、育ててくれた施設をどうしても心の底から疑うことが出来ずに美少年達は頭を悩ませるが、美少年がどう思ったとしても、所詮美少年の運命は自分ではどうしようもないのだ。
「昔は、この学校の生徒達も普通の女子が多かったのですが、ここ数年で急激に変態女のコギャルの割合が増え、今では8割の生徒がコギャルという状態になっています」
美少年達の恐怖を無視しながらの校長の説明が続けられる。美少年達もまだ周りが何かをしてくる訳ではないので、怯えながらも黙って聞いているしかなかった。
「変態女の生徒が増えれば、必然的に黄暖化ガスの発生量も増えます。増えすぎたガスがいつまでも学校の周囲に残り続けることで、いつしかこの学校全体の空気が黄暖化現象に侵されてしまったのです」
ただ、変態女はこの学校のコギャルだけではなく、この世界のどこにでもいる。それなのに何故この学校の周囲だけ黄暖化現象が起きてしまったのだろうか。
「それは、この学校に君たちのような美少年が存在しないからなのです。知っていますか?黄暖化ガス、つまり変態女のオナラは、君たち美少年だけが吸収できる気体だということを」
この世界での美少年は、中学生ぐらいの年齢がピークとされ、高校生の美少年は存在しない。この学校が女子校であるという以前に、そもそも高校に美少年は存在しないのだ。
それでもコギャルが学校の中で少数派である頃は良かったが、コギャルが変態女として認められるにつれてコギャルの割合が増えていくと、大量に発生する黄暖化ガスが校舎内に沈殿し、やがては溢れてたちまち周囲に黄暖化現象が起こるようになってしまう。
それは変態女と美少年のバランスが取れてない地域によく起こり、美少年が少ない、もしくは変態女が増えすぎたことが主な原因とされる。人間のエゴが環境の悪化を引き起こすように、この世界では変態女のスカトロが公害を引き起こしているのだ。
容易に分解できない変態女のウンコが下水道を破壊し、変態女のオナラは空気を汚染する。変態女がどこにでも存在することを考えると、その公害は工業地域よりもさらに深刻な問題だとも言える。
「君たち美少年は、黄暖化ガスに覆われたこの学校を綺麗にしてくれる希望の光なのです。君たちが来てくれたことで、この学校に再び綺麗な空気が蘇る日も近いと思っています」
変態女のオナラは変態女にとっては無害だが、黄暖化現象が起これば気温が上がり、周囲の美観も損なわれるので無視するわけにもいかないようだ。それに、変態女以外の女性に対する配慮という建前もあるのだろう。
そこでこの校長は繋がりのある施設に頼んで、溜まりに溜まった黄暖化ガスを吸い込んでもらうための美少年を連れてきてもらったというわけだ。施設の女性もその事は美少年達に黙っていたので、ここで初めて女性の口から社会科見学の本当の目的を知らされても、もはや選択の自由もなく呆然とするばかりだった。
「それでは社会科見学の一環として、今日から君たちはこの学校で寝泊まりして、黄暖化現象を防ぐためのエコ活動を実際に体験してもらいます。お泊まりだからって、はしゃいでは駄目ですよ。優しいお姉さん達と、仲良く頑張ってください」
もはや美少年達に出発前の明るい雰囲気はなく、泊まりという体験にはしゃぐ美少年は誰もいなかった。
変態女のオナラを吸収できるのは美少年のみ。とはいえ、それは決して特別な強みでもなければ、良いことでもなかった。変態女のオナラを吸収するというのは、毒ガスを吸収するのに等しい行為なのだから。
次の日から、美少年達は授業中各クラスに一人ずつ配置され、何もせずにただ大人しく座っていることを要求される。
「あー、超オナラしてー。センセー、ちょっと屁ーしてきていー?」
何年も前から沈殿し続けている黄暖化ガスの悪臭の中、教室の後ろで床に座らされているだけなら良かったが、授業中だというのに美少年の前にやってきたコギャルから顔面に黄暖化ガスを叩きつけられる度に、気を失って死ぬ思いをするのが恐怖だった。
昼食も、高校に給食はないがエコ活動に協力してくれる美少年達のために、急遽コギャル達がローテーションで給食当番を行うことになった。コギャルも普段はあらゆる当番を普通の女子に押しつけるのに、今回ばかりは当番の順番待ちが出来るほど張り切っている。
「今日はアタシ達が給食当番だからさー、期待していーよ。アタシ達のウンコ、マジで超太いってゆーかー」
自分のウンコを美少年に食べさせる快感を味わえるのだから、コギャル達が当番をやりたがらないはずがない。さらにコギャルのウンコを美少年が食べることによって、それもまたエコ活動になるのだから一石二鳥であった。
初日は誰もウンコを食べることが出来る美少年はいなかったが、二日、三日と日が経つにつれ、徐々にウンコを食べる美少年が増えていく。ウンコを食べることの出来なかった美少年に対するコギャルの猛烈なリンチと、ウンコ以外の絶食が徹底されたおかげであった。
「あれー?さっきオナラぶっかけてからさー、こいつ全然動いてなくね?」
「あー。こーいう時はさ、もう一回オナラぶっかけてやるといーんじゃねーの?オラ、動けよテメー。…ホラ動いた、ギャッハハハハ!」
「おいー、もっと早くウンコ食えよー。腹減ってんだろー?だったらガツガツ美味そうに食えってんだよー」
「なんだ泣くなよー。泣いてる暇があったらさー、早く食えよー。オラ、早く食えよ。食えって。食えよ。食えって言ってんだろ!」
美少年達の逃れられぬ悪夢のような日々。一度は穏やかな日々を味わってしまった分、美少年達が受けた絶望の深さは計り知れなかった。
それから二ヶ月が過ぎ、この学校に漂う黄暖化ガスの濃度が明らかに下がってきたというデータが示されたことで、美少年を消臭剤や空気清浄機として利用することを提案した校長は喜び、さっそく美少年一人一人に対して感謝状を作成し、表彰することにした。
「…貴方はこの学校でのエコ活動の取り組みに、大変素晴らしい貢献をしました。よって、ここに感謝の意を表彰いたします」
この学校に連れてこられた美少年、全員分の賞状が校長によって読み上げられ、その度にコギャル達からの形ばかりの拍手が送られる。しかし、その賞状を受け取れる状態にある美少年は、もう一人もいなかった。
(完)



